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服部真澄

​小説家

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名画で読む服部真澄の

​伊勢物語絵解き

全訳小説伊勢物語

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千年の眠りを醒ます

​伊勢物語

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第50回 番外編/歌川広重・伊勢物語絵を描いた著名な絵師たち その⑦前編

 

第49回 恋い慕うあの人の庭に菊を植えた業平。果たしてその心とは……?

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第48回 伊勢物語第四十七段で人気者に喩えられた、とある〝神具〟とは……?

 

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第46回 平安時代から、人は生き物のサバイバル戦略に注目していた。伊勢…

 

第45回 番外編/勝川春章・伊勢物語絵を描いた著名な絵師たち その⑥後編

 

第44回 番外編/勝川春章・伊勢物語絵を描いた著名な絵師たち その⑥前編

 

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第42回 あの日の恋は、時を経たいまならやり直せるのだろうか。第三十段で…

 

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第38回 一夜限りで再訪のない彼。伊勢物語第27段で落ち込んだ女性が盥に …

 

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第33回 「二股をかける」を連想させる?〝むさしあぶみ〟とはいったい何か。

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第32回 番外編/鈴木春信・伊勢物語を描いた著名な絵師たち ⑤後編

 

第31回 伊勢物語のエピソード「富士の嶺」の物語絵は「東下り図」とも……

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第30回 番外編/鈴木春信・伊勢物語を描いた著名な絵師たち ⑤中編

 

第29回 番外編/鈴木春信・伊勢物語を描いた著名な絵師たち ⑤前編

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お知らせ/新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急事態宣言中の刊行と…

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​第24回 対照的な二人の女性が登場する伊勢物語第二十三段ではパーソナリテ…

 

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第19回 伊勢物語絵で「八橋」の水景に描かれていた草花はカキツバタのみな…

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第18回 「八橋」の〝燕子花(カキツバタ)=群青色〟ではなかった……?

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「八橋」の〝燕子花(カキツバタ)=群青色〟ではなかった……?

2020年1月25日
読了時間: 2分

更新日:2020年5月26日

 ところで、伊勢物語第九段の舞台・八橋の水辺に群生して咲いていたというカキツバタ(燕子花・杜若)の花の色をご記憶でしょうか。


 多くの方は、次の絵のような群青色が基調の花を思い浮かべられるのではないかと思います。

 下掲の名画は尾形光琳の作「八橋図屏風(メトロポリタン美術館所蔵)」ですが、ご存じの通り、この絵は伊勢物語第九段にゆかりしており、伊勢物語絵の一種ともいえるのです。



 金地の屏風に紺青で描かれたリズミカルな花の群れは圧巻で、強烈なインパクトを伴い、見る者の脳裏に刻まれます。同じモチーフの「燕子花図(かきつばたず)」は根津美術館に所蔵されており、こちらは国宝ですので、ご覧になった方も多いことでしょう。

 酒井抱一も光琳の影響のもと、オマージュ作として「八ッ橋図屏風」(出光美術館所蔵)を残しています。

 上記の作はそれぞれに有名ですが、いずれも花弁は群青色系の色あいに描かれています。

 ところが、伊勢物語の本文の花の形容としては、〝いとおもしろくさきたり〟とあるのみで、カキツバタの色についての形容はありません。

 ……つまり、絵師はどんな色で花を描いても構わなかったわけです。

 ところが、尾形光琳は独自の発想で色を想像し、紺青のカキツバタを選んで配しました。このカキツバタの色を頭のなかから抽出し、絵に立ち上げたのです。

「八橋図屏風」〈部分〉尾形光琳 メトロポリタン美術館所蔵

 一度目にしたら忘れ難く、多くの人に〝八橋のカキツバタ=紺青色〟と連想させてしまうほど力強い作品を生んだ尾形光琳は、江戸時代に一世を風靡したアート・ディレクターだけに、天性の素晴らしい才人といえるでしょう。

(続く)


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